曇天からの贈り物・デストロイ石
我が社が誇るパワーストーン・デストロイ石。
実際に使用されたお客様から、たくさんの狂喜乱舞するお声が聞こえてきております。
絶対に聞こえてきております。
そんなお声のごくごく一部をご紹介させていただきます。
沖ノ鳥島在住 ナオミ・インティライト様 職業:捨て石
今までの私は、圧倒的な負け組人生でした。
小学校での運動会では私だけ白組からも赤組から除名され、唯一の個人参加。
特に小学6年生の時には白組718・赤組732・私689という大敗を喫してしまいました。
それがトラウマとなり、紅白歌合戦も見ることができず、毎年ビートルズが登場する前に見るのをやめてしまいます。
克服しようと紅白かまぼこを食べたらうっかり板まで食べてしまい、胃に穴が。
その穴を塞ぐべくバンドエイドを買いに行く道中、つまづいた小石がなんとデストロイ石でした。
デストロイ石を手に入れてからというもの、私の人生は他の追随を許さぬ勝ち組人生に。
バンドエイドの箱に刻印された金のエンゼルを持って国税局に行くと、なんと国税の3割が自動的に私に振り込まれるように。
金に物を言わせてNHKを買収し、紅白歌合戦に個人参加。得票数も私の思うがままです。
白組・紅組・式守伊之助さんチーム・私の4勢力で大凡戦を繰り広げました。ご覧いただけましたか?
皆さんも、つまらない毎日にサヨナラしましょう。必要なのは、デストロイ石だけ!
ダクト在住 利根川サンダー郎様 職業:サイドステップ
巣を破壊された恨みで渡米したところ、何やらよく分からない言葉を話す生き物に捕縛され、あれよあれよと六本木に強制送還。
俺はこんなところに収まる器じゃない。絶対にビッグになって甲子園球場を踏みつぶしてやる。その一心で自重トレーニングを繰り返す毎日でした。
しかし、どのプロテイン味噌汁を飲んでも口に合わず、どのジムに入会しようとしても年齢制限にひっかかる、と私を妨げるものばかり。
そんなままならない鬱憤を晴らそうと近所のアパートに投石していた時、偶然拾ったのがデストロイ石でした。
手に持った瞬間、得も言われぬ温もりを感じたのを確かに覚えていたと思います。
その石をウエストポーチに入れて持ち帰ったら、玄関先には頼んだ覚えのないグッチの炊飯器が大量に届いているのです。
隣近所に配布して回っていると、偶然その辺りを盗撮して回っていた侍がなんと常軌を逸したグッチマニア。
これまで手にした汚い金と贖罪を条件に2台譲るよう頼まれたので快諾。
途端にビッグマネーが手に入ってしまいました。
デストロイ石、ありがとう。あの頃の侍、シャバの空気はどうですか。
アマゾン在住 ピラルク食べ男 職業:エサ
あれは私が保育園を10年留年した頃です。
私の実の両親が、生みの祖父を名乗る謎の老人に説き伏せられ、縁もゆかりもない山小屋に引き取られたのが転落の始まりでした。
散々甘やかされてきた私は、知らない小屋での知らない老人との2人暮らしに耐えられず
狂乱して薪割り用の斧を振り回しては、その反動で汚泥の中で泥のように眠る生活を続けていました。
そんなある日、斧を泉に落としてしまいました。
すると、泉の中から女性が現れたのです。夢か幻かわかりませんが、一抹の期待が脳裏をよぎり、こう聞いてみました。
「……もしかして、俺の生みの祖母?」
それを聞いた女性は、舌打ちをして泉に戻っていきました。
なんだよ、期待させやがって、と泉を覗き込むと、底の方に見慣れない綺麗な石が落ちているではありませんか。
泉の中に、石がある。拾いに行こう……と着水すると、想像よりずっと深い。
我を忘れてもがいているというのに、近所のガキが水切りを始める始末。
死の淵を彷徨い、保育園の天井ばかりの走馬灯を見ていたら、水切りの石がこめかみに刺さりました。
これが、デストロイ石との出会いでした。
痛みで意識を取り戻し、なんとか泉からあがることができました。
こめかみを確認すると、もう何も刺さっていませんでした。
これが、デストロイ石との別れでした。
被害届は提出しました。
渋谷県在住 オイル山タンカー比呂 職業:自由落下
一族代々受け継いできたEメール配送業も行き詰まり、新たな事業に手を出したのが運の尽きでした。
それが、テトリスのポリオミノ製造業です。永遠に降り続けるため、需要が無限大なのです。
しかしテトリスに入る方法もわからず、製造権の獲得もできず、20万7千円の損失と黒物家電一式の差し押さえを受けるだけの結果となってしまいました。
親族に金を無心してはつまみ出され、いよいよ八親等にさしかかった際、土下座で頭をこすり付けた地面に落ちていたのが
大量の花崗岩でした。
花崗岩に色々な理由を付けて売り払い、月収は13万円に。
月々の支払いは家賃5万・水道光熱費2万・食費3万・税金等3万・ガラパゴスゾウガメ鑑賞同好会の会費4万円で、月に4万円のマイナスに抑えることができました。
このままではジリ貧だと一念発起して、手近な信用金庫で暴れようと思い、袋に石を詰めていたらその中の2,3個がデストロイ石でした。
信用金庫は休業日だったのでトボトボ歩いて帰っていると、突如カラスの群れに襲われました。
踏んだり蹴ったりだな、と遠くを見つめていると、身体には傷一つなく、それどころか、金銀財宝が体中に付けられているのです。
カラスたちは私を王と認めた様子。
すっかり気分がよくなった私は、カラスを従えてガラパゴス諸島を占拠、建国の宣言をしてやりました。
カラスの群れに乗って各国を渡り、財宝を盗んでは換金し、貧困にあえぐ人々の目の前で札束を燃やして高笑いを繰り返す日々となりました。
国際指名手配ではありますが、命があることに感謝し、世界平和を望んでいます。
私も人の子ですから、人並みの心を持っているのですよ。
それもこれも、デストロイ石のおかげです。ありがとう、そしてこれからも共に。
曲がり角在住 栂村STR太郎 職業:梅干し
昔から「災い」という愛称で呼ばれるなど、八面六臂の不幸ぶりを発揮していた私。
通っていたユーラシア大陸立アジア大学 日本史学部では私だけ全部嘘で書き換えられた特性の偽テキストを使わされ、
テストさえもしっかりと偽情報で採点されるなど、手の込んだ嫌がらせを受けました。
鎌倉幕府はA34年、新潟幕府が今も続いている、といった偽情報がしっかり脳に刻み込まれ、このままでは近所名物の嘘しか言わない奇人になってしまいます。
卒業式は私以外の学生・教授等全員が当日ボイコット。
広い会場で一人、司会と式辞と国歌斉唱をこなし、タバコに火をつけました。
会場の焼け跡で消防車のサイレンと警察による詰問を聞き流しながら足元に目をやると、なんとそこに落ちていたのがデストロイ石でした。
静止も聞かずに拾い上げると、思ってもいない言葉がすらすらと口をついて出てきます。
かつての反省を抒情的に語り上げていると、最終的には集まってきた警察官と消防士全員を号泣させ、無罪放免なうえにお小遣いを頂戴して帰れることになりました。
家に着いてお小遣いを確認しながら、タバコに火をつけました。
家の焼け跡を見てみると、地下につながる空洞を発見。
入ってみると、そこには地底人の暮らす地が。
地底人たちは数世紀ぶりの来客に大いに歓喜し、もてなしてくれました。
三日三晩の宴が終わると、全長が8メートルはあるかという巨漢の王が小さくしゃがみ込み、地上のものを何か見せてほしいと言ってきました。
こういう時は火を見せるのが一番と、タバコに火をつけました。
一酸化炭素中毒によって死屍累々の地底人たちを踏み越えて探索していると、財宝を発見しました。
持ち主もいなくなったようですし、いただくことにしました。
「災い」に「火」が含まれる意味を感じたのも今は昔。
富を得て悠々自適の暮らしです。
皆さんに足りないのは努力ではありません。デストロイ石様そのものです!
引き続きご愛顧のほどよろしくお願いいたします。
デストロイ石はあなたを待っています!
デストロイ石はあなたを見ています。